「家族信託」について知っていますか?
家族信託とは、不動産など自分の所有する財産を信用している家族に託し、その内容を書面に残した契約のことをいいます。
所有者が認知症になる恐れがある場合など、所有者が亡くなる前に相続対策として家族信託が行われることがあります。
ここでは、そんな家族信託された不動産を売却する方法と売却する際の注意点について解説します。
そもそも売却できるの?家族信託された不動産の売却方法とは
そもそも家族信託された不動産を売却することはできるのでしょうか?
まず確認すべきポイントは、信託契約書の受託者の権限に不動産の売買についての記載があるかどうかです。
信託契約の条項に不動産の売買について含まれている場合は、目的に従い該当の不動産を売却することができますが、含まれていない場合は売却することができません。
ただし、合意のうえで信託契約書の内容を変更するなどの方法によって売却が可能になる場合もあります。
不動産の売却方法自体は一般的な不動産の売却方法と変わりはありませんが、税務面、法律面の取扱いについては把握しておく必要があります。
家族信託された不動産を売却するときに気を付けたい注意点
上記でも述べたとおり、信託契約の条項に不動産の売買について含まれている場合は不動産を売却できますが、売却する際に注意しておくべきことがあります。
まず、家族信託の受託者は必ず1名でなければいけないという決まりはないため、受託者が複数人設定されているケースもあります。
その場合、不動産売買の意思決定を1人で行うことはできず、売却を行う場合には受託者の過半数の承諾が必要となります。
また、家族信託された不動産に抵当権が設定されている場合、不動産の売却は受託者が行えますが、ローンの繰り上げ返済によって抵当権を抹消してもらいたい場合には受託者では行えず、委託者本人に行ってもらう必要があります。
委託者に意思判断能力が無くなってしまった場合でも、債務者ではない受託者はこの手続きを代わりに行うことはできないため、金融機関が繰り上げ返済に応じてくれない可能性も考えられます。
信託契約時にあらかじめ受託者が債務を引き受けるように設定しておくと、このような事態を避けることができます。
まとめ
家族信託された不動産を売却できるかどうかは、信託契約書の条項に不動産の売買の記載があるかどうかで確認しましょう。
売買が可能な場合も、受託者の人数や抵当権の有無などに注意して売却を行うようにしましょう。