これまでLGBTsは、夫婦が収入を合算して借入金額を増やせる「夫婦ローン」や「ペアローン」は利用できないことがほとんどでした。
それが近年、LGBTsのカップルにも、ペアローンを解禁する金融機関が増えています。
この記事では、LGBTsがペアローンを利用するには、どんな手続きが必要なのかをご紹介します。
2人の収入を合算してローンを組むペアローンには、「折半型」と「連帯型」の2種類があるので、まずはその違いをご説明します。
ペアローンの「折半型」では、2人がそれぞれの収入に見合ったローンを組み、それぞれが債務者になります。
一方「連帯型」は、1人の名義で住宅ローンを組み、もう1人はその連帯保証人になるもので、2人の収入を合算して借り入れ額を決めるのが特徴です。
どちらを利用しても、1人で借り入れるより、大きな額のローンを組むことが可能になります。
「折半型」でローンを組むと、購入した不動産の持ち分も二分の一ずつ共有でき、住宅ローン減税も、2人とも適用されるのもポイントです。
「連帯型」で借り入れると、不動産の名義は借り入れた片方のものとなり、住宅ローン減税も借り入れた人のみの利用となります。
どちらがよいかはカップルの今後のライフプランなどによって左右されるため、慎重に相談したうえで決めるようにしましょう。
LGBTsが住宅購入ペアローンを利用するには公正証書遺言が必要
LGBTsがペアローンを利用するときには、多くの金融機関が「合意契約に係る公正証書」と「任意後見契約に係る登記事項証明書」の提出を求めます。
「合意契約に係る公正証書」とは、夫婦の婚姻関係と同等の強い絆で結ばれたカップルであることを証明するためのものです。
一方「任意後見契約に係る登記事項証明書」は、ペアローンの支払いを継続している途中で万一カップルの1人が認知症になった場合、他の1人が財産管理や契約などを代理することができる旨を証明する書類になります。
LGBTsのカップルの場合、現時点では法的な婚姻関係が結べないため、互いの法定相続人にはなれません。
そのため支払いの途中で一方が亡くなるなどの不測の事態に、金融機関が備えるために必要なのが公正証書遺言です。
どちらも公式な書類と認めてもらうために、公証役場で作成した「公正証書」での提出を求められます。
公正証書の作成には、相談から実際に作成するまで時間がかかるため、住宅をペアローンで購入すると決めたら早めに専門家に相談し、作成をはじめるのがよいでしょう。
LGBTsもペアローンが組めるようになり、購入する住宅の選択の幅が広がったのは喜ばしいことだと思います。
夫婦であれば不要な公正証書遺言などの提出が必要であるなど、気になる点はありますが、今後さらに条件が緩和されていくことを期待しましょう。